生産地から


今年はいつもより早い春の訪れとなった長野県飯山市。
雪解け水が流れる千曲川のすぐ近く、わずかに雪が残る黒倉山と戸倉温泉スキー場を背景に、独特な畑が広がる一角がある。
山菜の代表選手としても知られている「タラの芽」
ここでは露地栽培で育てられている。
「最初に植えたのはもう15年くらい前。ここの畑は5年目くらいになるかな」
地域で稲作やリンゴ、アスパラガスなども育てているという萬場孝治さん。なぜタラの芽の露地栽培を始めたかと聞くと「人間が変わっているからだよ」と笑う。

周辺では露地栽培ではなく「吹かし物」と言われるビニールハウスでの促成栽培で小規模にタラの芽を育てている農家は数軒あるという。元々農業閑散期の冬場に副業として行われていた。
「露地栽培の方が大きく育つ。タラの芽を天ぷらにした時に小さいよりいいからね。直接納めてる東京の蕎麦屋じゃそばいらないから天ぷらくれってお客もいてくれる」
ハウスで行う促成栽培は2月頃から出荷を始めるが、露地栽培の場合積雪にも大きく左右される。今年は例年になく雪が少なく、3月上旬には堆肥を入れて作業を始めた。4月に入ってからの雨もあり、またここ数日の陽気でいつもなら1週間かかるほどの芽が一斉に出てきたそう。

「一番上の芽が一番大きくなるが、今年は今までに無いほど物がいい。2本で100gを超えると3L級だけど、それよりもはるかに大きい物もある。5月の連休までにはこんな大きいのは全くなくなるが、下の方でも6本で100gくらい。本当はそのくらいがちょうどいいのかな」
タラの芽は一番上の芽(頂芽)を採るとすぐ下の「側芽」が急に成長し始める「頂芽優勢」という育ち方をする。1m50cmほどに育った木には、側芽が12・3個ほど出ており、上から順番に採っていく。そして一番下の芽の上で木を切り、翌年へ備える。来春にはまた同じくらいに木が伸びて収穫を迎えることができる。

「でも俺は小さいのを天ぷらにするより大きい方が好きだから。皿に乗っけてはみ出すくらいのってやっぱり魅力だよ。さぁ食え!って感じで。他では食べられない物だって使ってくれている。そういうお客さんが待ってくれている。喜んでくれるのが何よりだよ」

特大サイズのタラの芽は4月中には終わってしまう。それでも一般的なものより大き目のタラの芽は5月中まで楽しめる。サイズを楽しむものは天ぷらで頂き、ほかは胡麻和えやピーナツ和えなどもおすすめの食べ方だそうだ。でもやはり来シーズンには早めに確保して、大ぶりの天ぷらを味わってみてほしい。